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まゆみファーム(ナーセリー/育苗農家)



山梨・長野をまたぐ八ヶ岳エリアには、30を超えるナーセリーが点在しています。NHK趣味の園芸でおなじみの日野春ハーブガーデンも八ヶ岳。このあたりで育った苗は、全国の市場に出ています。


八ヶ岳にナーセリーが多いのは、苗を育てるための好条件がそろっているから。標高700m~1000mの地は、害虫が少なく、湿度も低い。寒暖の差があり、夏の気候は涼しく、冬の寒さは苗をしっかり休眠させてくれるから。関西だと伊吹山周辺に育苗農家が多いようですが、おそらく同じような育苗に適した条件がそろうエリアなのだと思います。


今回ご紹介する「まゆみファーム」の場所も、標高約800m。元々は蘭を栽培されていたハウスを引き継がれて、現在のナーセリーをスタート。ここではハーブや園芸植物の育苗、苗の直売を主体にされており、ファームに隣接するガーデンもあります。女性お一人で育苗とガーデンの手入れ、販売をされています。


育苗の仕事は、1年を通じて苗を育てること。


種から発芽させたり、挿し木で増やしながら育て、出荷します。今年一年で100種類くらいの苗を作られたそうで、ハーブを始め、このあたりの気候、お庭に向いた耐寒品種の宿根草が中心。


(育った苗を、1サイズ大きいポットに移し替えているところ)


12月初旬に訪ねたので、苗はほぼ休眠している状態です。夏季にくらべ、水やりも様子をみながら数日おき。毎日朝夕にハウスの窓を開けて、風を通して蒸らさないようにする。生き物なので、お休みを取れても遠くへはいけない、と笑いながら話してくれました。


(休眠中のエキナセアの苗)


ファームの規模は、ハウスが約500坪と約400坪ほどのガーデン。ガーデンは、育苗した苗で作庭し、お客様へのショーケース(成長した時の大きさや、植えるときの間隔、庭づくりのイメージを膨らませるための場)であり、種取りのための資産であり、育苗の実験の場でもあるそうです。


自分で育てたことのない苗は販売しない、と決めていて、育てたことのない種や苗は、必ず自分で育て、苗の性質を理解してからファームで育てるようにしているとのこと。そうでないとお客様にその苗のことを伝えることが出来ないから。


(ガーデンの苗)


ガーデンの苗が休眠に入っています。よく見てほしいのは、土の部分。ガーデン全体、雑草が全くないのです(!)雑草取りのなかにもプロの仕事をみました。



土作りのこだわりがあるか聞いたところ、とても柔軟な答えを頂きました。彼女が使っている土は、ホームセンターで買える土なのだそう。なぜか聞いてみると、ここで苗を買っていかれるお客様のほとんどが、ご自身で燻炭したり堆肥を作ったりするような方たちでなく、ホームセンターで買ってきた土を使って寄せ植えを楽しまれたりお庭を作られている。そういった土でもこんなに元気な苗に育てられるんだよ、ということをお伝えすることが出来るし、苗がお客様の手元にわたってからも育て方や環境のアドバイスができるから。


苗が手元を離れてからのことも目線の先にあることが伝わり、この方なりの志を感じました。土作りの拘りがある人もいれば、彼女のように苗を買われた人がどんなふうに育てるかを考えて敢えてこの土を選ぶ。育苗家さんそれぞれのこだわりの部分でもある。


苗が最終的に根を下ろす環境を考えた目線は、育てた苗は最後まで面倒みるよ、と言われているようで、その分、買った側は信頼して相談できる。苗を買う側としては有難いし、頼もしいですよね。



(土を扱う手つきが優しい)


実際に種をまく時の土の準備を見せてもらいました。手早くても、「ふかふかのベットだと気持ちいいでしょ?」と優しい手つきで土に触れているのが印象的。


(如雨露の目の細かさ!)



こちらのファームの苗は、直売のみ。市場には出されていません。それも彼女がナーセリーをスタートするときに決めていたことだそうです。自分の目が行き届く、手をかけられる量を大切に育てて、お客様へ手渡す。


小規模ならではの良さが詰まったナーセリーです。



▶現在は冬季シーズンに入られていて、今期の苗販売は終了しています。

春夏シーズンスタートは、GW前後。(こちらのガーデニングシーズンのスタートはその頃から。標高が高いので、庭仕事に適した気候になるのが遅いため。)





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