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  • 岡本知子

ヴェルドン峡谷とVerdon Roses et Arômes

更新日:2023年2月7日

勉強会投稿です。

施設: Verdon Rose et Aromes 場所: 南仏ヴェルドン峡谷


栽培と野生ハーブ収穫、蒸留、素敵なアロマ関連製品化まで一貫して行っておりました。 ダマスクローズのイドロラ(芳香蒸留水)が濃厚ですばらしく、お肌がしっとりしました。 めずらしいケンティフォリア種のイドロラも作っています。

レポートが画像なので読みづらくて恐縮ですが、ご覧いただけたら幸いです


(IPAP協会Facebookグループへ 12/10投稿文)

 

ヴェルドン峡谷


 旅が始まり6日目。山岳地特有のくねる道をバスでなぞりながら、フランスのグランドキャニオンと呼ばれるヴェルドン峡谷へ。バスを降り、足元に力強く自生するハーブや木々について、リアノン先生にレクチャーいただきながら、壮大な景色を目指しました。清々しい夏の山には真正ラベンダーを始め、青い花を咲かせるエキウム、ジュニパーの丘部や大きなパインツリー、このあたりに自生するハーブ、アルニカと呼ばれるイニュラモンタナの姿がありました。開花時の花と茎で作ったアルニカのマサレーションオイルは、打ち身などに効果的だと言います。


 ビューポイントにたどり着き、咲くから下を覗き込むと、足元がすくむほどかなり深くにヴェルドン川が流れています。さすがヨーロッパでもっとも深い峡谷といわれるゆえんでしょう。多くの観光客によって石がすり減りツルツル滑る足場が、さらにスリル感を増してたまりません・・・!大きくゴツゴツとした複雑な岩山の白っぽいグレーや夏の茂った緑、太古の昔に氷河が削った証となるヴェルドン川の水色がなんとも美しいコントラスト。まるで絵筆を洗った水のような、日本では見ることのないターコイズブルーが石灰質の岩に生えて素晴らしい景観でした。


 このあたりの森林の植生遷移(せんい)についてのお話がとても興味深く、「パインツリーが終わりを迎えると、そこにはオークが育つ傾向にある」とリアノン先生。やどり木に寄生され、命の終わりが近づくパインツリーのたもとには、お話にあったとおりにまだ小さいながらもオークの木がひっそりと。まるでパインツリーの最期を静かに見守り、次世代を担う力強さにあふれているようでした。


 

Verdon Roses et Arômes


 ヴェルドン峡谷の壮大な景観をひとしきり楽しんだ後、ダマスクローズの精油などに定評のあるハーブ農園「Verdon Roses et Arômes」さんへ。敷地内へ進むと、緑に囲まれた石造りの可愛らしい家が目を引き、約150種にも及ぶバラや様々な植物たちがアルプスの風に揺れていました。




 笑顔で出迎えてくれたのは、ジャッキーさんとイブリンさんご夫妻(写真1)。バラを愛し、その芳しい香りを蒸留することが夢だった緒、奥様のイブリンさんの想いに寄り添うように、高品質の精油を得られるようにと、ご主人ジャッキーさんの手によってデザインされた蒸留窯のある建物へ案内してくださいました。ブルーのラインが生える蒸留窯の中には、積み立ての美しいピンク色のダマスクローズがたっぷりと!外側には、釜の中のエネルギー循環をよくするため、コルク材がぐるりと貼られています。ソーラーパネルの設置によりボイラーへの使用電気料は少なく、蒸留に使用した水は冷却して菜園の野菜などに使用するとのこと。育った野菜たちはいったいどんなお味がするんだろうと・・・と、とりとめとない妄想や、そばにあった蒸留後のバラの絞りカスですらあまりに美しく、あれもこれも興味深かったことを思い出します。


 バラの蒸留は早朝に花を摘み、香りが飛ばないうちに速やかに釜に入れ、銅製のパイプはどうやら秘密のレシピのようで、蒸留のプロセスをよく促してくれるようです。精油の蒸留には薄く繊細な花弁同士がくっついてしまわないように、花と水を合わせる「水蒸留法」で、ハイドロラットを得るには「水蒸気蒸留法」行います。一度得た芳香蒸留水を再度釜に戻して、バラの花弁と一緒にさらに蒸留を行うコーホベーションという方法を採用しています。そうすることで水中の精油が飽和状態になり、より多くの精油成分を得られるそうで、このリサイクルシステムはバラの蒸留のみ行われています。


 デリケートなバラの蒸留に必要な熱と圧力は極めて低く、温度調節をしながら、ジャッキーさんの心のこもったゆっくりと優しい蒸留工程で、得られた精油やハイドロラットは、有効成分がたっぷりで、心にふわりと広がりながら解放感へと導くような柔らかく甘やかな深みのある芳香が印象的でした。


 今年の4月の冷風被害により、たった2日間の寒さで、すべてのバラの蕾が霜で凍りついて枯れてしまい、例年に比べて精油の採油量がとても少ない見込みのようで、イブリンさんの深い悲しみに触れた場面もありましたが、植物を愛するおふたりが創り出す輝くようなバラの産物は、これからもずっと人々の心に寄り添い、そっと生きる喜びを与えてくれるものなのだと感じた感動の瞬間でした。






【訪問先】

Verdon Roses et Arômes














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